17. 終末期医療をテキストマイニングする

1. はじめに


現代社会にはさまざまな文章情報があります。たとえば、インターネット上のウェブやブログであるとか、新聞雑誌はもちろんのこと、書籍なども当然含まれます。この文章情報を網羅的に解析する方法として、「テキストマイニング」が注目されています。すなわち、文章を定量的に解析し、その特徴を抽出するというものです。今回、在宅医療の書籍として注目を集めている「人生をわが家で終える」(松井英男著、日本経済新聞社刊)のなかで記載されている3名の終末期患者について、このテキストマイニングの手法を用いて解析を試みました。
 

2. 抽出語と使用頻度


図1

 「人生をわが家で終える」の中では3名の終末期医療を行った患者さんのことが書かれています。Aさんは前立腺がん、Mさんは膵臓がん、Kさんは老衰で、いずれもご自宅で看取りをしました。この各章で記述された内容を、もとの文章として解析に用いました。10回以上記述された単語をみると、「医療」、「治療」、「終末」、「患者」、「家族」、「在宅」などの単語が多く用いられていることがわかります(図1)。 


3. 対応分析


図2

つぎに、これらの抽出語の対応分析を行いました。図2にその結果を示しますが、それぞれの章に特徴的なことばが抽出されています。たとえば、Mさんは膵臓がんの終末期医療を行いましたが、「痛み」、「不安」、「モルヒネ」、「腹水」などの言葉が多く使われているのがわかります。このように、「ことば」からみても、それぞれの患者さんには違いがあることがわかります。
 


4. 抽出語の関連


図3

抽出されたことばどうしの関連を共起グラフ(図3)で示してみました。それぞれ関連のあることばが示されています。たとえば、「医療」、「終末」、「考える」などと、「在宅」、「自宅」、「家族」、「時間」、「療養」など、一方で「治療」、「ガイドライン」、「緩和」、「ケア」などが関連の強いことばの集まりとして示されています。
 


5. 特定のテーマごとの解析


図4

特定のテーマとして1)終末期・病気・死、2)住みなれた家、3)医療・介護を選び、それぞれに関連することばの段落における出現頻度を患者さんごとに解析しました。3名に共通してそれぞれのテーマを示すことばが用いられていることがわかります。とくに、Kさん(老衰)では終末期・病気・死であるとか、医療・介護といったテーマが多く述べられている傾向がありました(図4)。
 


6. 文章ごとの解析


図5

特定のテーマのうち、1)終末期・病気・死について文章ごとの出現頻度を解析しました。横軸は文(1~117)を示しますが、多くの文でこのテーマに関連することばが用いられていることがわかります(図5)。
 このように、テキストマイニングの手法を用いることにより、文章にかくされたことばの特徴が定量的に示されることがわかりました。
 


今回の解析では、主としてKH Coder (khcoder-2b28b-f, 樋口耕一氏)を用いました。   


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