25 入院医療の延命効果

終末期であっても、在宅療養と入院治療を併用することによって患者の生命予後が延長される事が示唆されています(在医総研便り21)。そこで、2012年12月までに当院で終末期医療を受けた患者98名について、在宅療養導入後の予後と、入院治療の有無別の予後を検討しました。

はじめに、終末期医療を受けた患者全体の予後を、老衰などの良性疾患(Benign, n=18)と、がんなどの悪性疾患(Malignant, n=80)とにわけ、Kaplan-Meyer法で検討しました。その結果、両群の予後に有意差を認めました(Log-rank test, p=0.0267)。1年生存率で見ると、良性疾患、悪性疾患でそれぞれ18.7%と8.91%でした。また、生存期間の中央値(MST)はそれぞれ94日と38日でした(図1)。したがって、これらの期間が当院の在宅療養における「終末期」と考えられ、前回の検討と同様の結果でした(在医総研便り02)。

図1

図1

次に、悪性疾患患者の予後を経過中に入院した群(Admission)としない群(Not)とで比較したところ、両群の予後に有意差はありませんでしたが、MSTは入院ありが61日、なしが25日で36日間の延長が認められました(図2)。

図2

図2

次に、良性疾患患者について同様に検討したところ、両群の生存率に有意差を認めました(Log-rank test, p=0.0437)。また、MSTは入院ありが228日、なしが83日であり、145日間の延長が認められました(図3)。

図3

図3

このように、終末期であっても在宅医療と入院医療を相互利用することによって生存期間が延長し、良性疾患では予後が有意に良好である事がわかりました。したがって、その是非はともかくとして、終末期医療において入院医療の介入効果があると考えられました。


ページトップ

© Copyright Kawasaki Takatsu Clinic All rights reserved.