18. 老化とは何か?老化は止められるか?

1.遺伝的な要因

 そもそも老いる(老化)とはどういうことなのでしょうか?世界での最大寿命はだいたい120歳くらいである事から、この辺がヒトの生きられる限界と思われます。この最大寿命と正の相関があるものとして、脳の重量、体重、性成熟に要する期間、線維芽細胞の寿命などがあります。

ヒト培養線維芽細胞は細胞分裂をして倍々になっていくわけですが、この回数は約50回と決まっています(Hayflickの限界)。これにはp21WAF-1などの増殖関連の遺伝子が関与していることがわかっています。

このほかに、早期より老化を示す遺伝的早老症の研究から明らかにされている原因遺伝子もあります。さらに染色体の長さを調節するテロメラーゼ、細胞死を規定するアポトーシス、あるいはプロテアソームと老化の関連も指摘されています。重要な点は、これらの因子は発ガンにも関与しているという事です。

一方、百歳以上の長寿者の大規模な遺伝子解析も進行中で、長寿に関与する遺伝子が同定される日も近いかもしれません。

2.環境的な要因

 環境因子(エピジェネティックな因子ともいいます)としては、DNAの損傷の修復が出来なくなる、あるいはエラーをおこすといった現象や、活性酸素の発生による組織の障害、アマドリ産物によるコラーゲンなどの分子の架橋形成による機能障害、リポフスチン、アミロイドなどの変異酵素や異常タンパクの出現など、老化には多くの因子が関与していることがわかります。

3.カロリー制限と長寿遺伝子

 マウスの摂取カロリーを65%に落とすことで、平均寿命が約2倍延びるという実験結果があります。また、最近の霊長類(アカゲザル)での検討では、加齢関連疾患(がん、心血管疾患、糖代謝異常)に関しては、カロリー制限(自由摂取の30%減で、その分ビタミンやミネラルは増やしている)による生存期間の延長効果が認められましたが、全病死でみると生存率に差はありませんでした。ヒトでは、このようなカロリー制限は、骨密度、筋肉量の減少につながる可能性が示唆されています。

1999年にはマサチューセッツ工科大学のガランテらにより、長寿に関連する遺伝子として、酵母菌からサーチュイン(Sir2)が同定されました。これは、カロリー制限や、赤ワインに含まれるレスベラトロールなどによって活性化される遺伝子で、哺乳類でもサートワン(Sirt1)という遺伝子があります。このように、からだをエコモードにすることで長寿遺伝子が活性化される可能性があります。Sirt1自身は、ヒストン脱アセチル化酵素(HAT)であり、さまざまな遺伝子の転写を抑制する働きがあります。最近、糖尿病やアポトーシスとの関連が注目されています。また、この補酵素であるNADの減少は記憶障害を起こし、高齢者の認知症にも関連があると考えられています。

4.百歳以上の高齢者からの助言

 以下の6項目は、百歳以上の高齢者の研究から長寿に関連することがわかっている生活上の注意点です。皆さんも実行してみましょう!
 

1.態度 
生き方を制限しない。与えられた機会や可能性を最大限に活用する。 

2.遺伝子 
皆がもっているのでうまく利用する。

3.運動 
体力と筋力を維持するトレーニングが重要。 

4.頭の体操 
常に新たなことに挑戦する。脳の異なる部分を使う。第二の職業につくなど。

5.栄養摂取 
果物と野菜を重点的にとる。節度をもって食べ、肥満をさける。抗酸化作用をもつビタミンEやセレンを補う。

6.ストレス 
ストレスをうまく解消する。心理的ストレスを解消する。ユーモア、瞑想、太極拳、運動、楽観主義など。


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